中庭コミュニティ審査員講評

人々の交流の場を、暮らす空間の中に設けるという発想には、ステイホームで分断されたコミュニケーションを復活させようというヴィジョンを感じます。マンションやアパートの中庭は、実際には意外に使われておらず、ここで人々が交流すればいいのに、と思っている方も多いと思うので、ある意味、実現可能なアイディアではないかと思いました。植物を取り入れて、大人も子供も、自由に集えるという場は、「隣に誰が住んでいるかわからない」という都会の状況に、新しいエネルギーをもたらす空間となりそうで楽しみです。

一般社団法人日本エシカル推進協議会 会長 生駒芳子

エントランスから続く中庭を共同スペースとして開放し、近所の人たちとのさりげない出会いの場を提供しようとする提案である。グリーンをふんだんに使った空間の演出も好ましく、単に眺めるだけの空間でなく、そこにいるだけで和める空間となっている。現代の住環境下における出会いの場として、きわめて現実的な無理のない提案と評価できる。

日本インテリア学会JASIS) 会長 直井英雄

オランダには小さな中庭付きの集合住宅がたくさんある。アパートごと(に共同管理され住人同士の貴重なコミュニティの場になっている。日本の都会では殆ど見られないうらやましい光景だ。木々や植物は日々変化し育ってゆくさまが美しい。しかし日照や通風に限りある環境では育成とインテリアデザインを高いレベルで融合させることは中々難しい。空間に調和する植物の選定や葉色の組み合わせもたいせつだ。当作品はそれらが慎重に企画され、ていねいに描かれたモノクロームの画面から「新しい出会いの場」にふさわしい清々しさが感じられる。

一般社団法人日本空間デザイン協会(DSA) 名誉会長 官浪辰夫

核家族化の後の高齢化した個の住居が多くなった日本の住まいの問題点に焦点を当てた作品となっている。人は周囲との関係性 人と人 人と社会との関係性無くしては豊かに生きていくことが難しいという現実を既存住まいの共同住宅などの共用スペースを利用し、積極的に活用できるコミュニティの場とするアイデアは、その場に皆で育てることを楽しむ緑があり、皆で維持する憩いの空間として個と個をつなげる豊かな空間となると感じる。

公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会(JID) 理事長 丹羽浩之

With コロナからの新しい暮らしの形の模索。希薄になった人との繋がりを身近なところから変えていこうとする強い意志と、暮らしや人に対する深い愛情を感じる作品。眺める中庭より触れ合うコミュニティー、一人でもふらりと入れる中庭コミュニティーの提案は憩いの場として人同士を緩く繋げる空間である。植栽の扱いがうまく、水、音、風、空気までも演出している。今一番必要な空間はこのような場所と空気感であることを思い出させてくれた。すぐにでも実現したい作品である。

一般社団法人 日本フリーランスインテリアコーディネーター協会(JAFICA) 会長 江口惠津子